「本気で逃げるから本気で追わないで〜!」

小谷野敦逃亡記



「小谷野敦逃亡記」再アップについて(2007/10/23・追記)

「小谷野敦逃亡記」を一ヶ月ほど非公開にしていた。理由は、小谷野氏ご本人が「小谷野敦逃亡記」を削除しろと再三要求してきたから。「『逃亡』というのが既に事実ではないので、全文抹消を願いたいと思います。」とのことだった。
私はあえてこれに反論しなかった。彼の条件を受け入れることで公開討論の実現に一歩近づけると思ったからである。(小谷野さんとのメールのやりとりの詳細については、別に記事をアップする予定。)
さて今回、このコンテンツを再アップするにはきっかけがあった。それはアマゾンの『禁煙ファシズムと戦う』のページに投稿されたあるレビューだった。投稿者は元喫煙者の方のようだ。ここに転載してみることにする。

現実逃避をしていました。2007/10/8
恥ずかしい話ですが、私はどうしても長年の煙草をやめられずに悩んでおりました。
そこにこの本を知り、精神安定剤として重宝しておりました。
しかし今思うと単なる現実逃避でした。
今年になってから私に肺がんが見つかりしばらく入院を余儀なくされました。
入院中に10人ほどの肺がんの人たちとも知り合いましたが、全てが喫煙者だったことに現実とこの本のギャップを思い知らされました。
今は禁煙できた身ですが、今まで自分のことをファシズムの犠牲者と思っておりましたが、単なる迷惑の加害者であることがわかりました。
この本を読んでも煙草の害と迷惑が減るわけではありません。
うまく説明できないのですが、病気になる前に禁煙できたら幸せだと思います。

このレビューを読んだとき、私は「小谷野敦逃亡記」を、もう一度、日本中の人に読んでほしいと考えざるを得なかった。小谷野さんの「禁煙ファシズム」説が今なお一般の罪のない人々を混乱に陥れていることを再認識したからである。

さて、記事の再アップにあたって、「逃亡」についての私の見解を補足しておくことにする。
小谷野さんは「事実」と「解釈・表現」のレベルを混同している、というのが私の基本的な考えだ。私が小谷野さんを公開討論に招待し、小谷野さんはそれに応じなかった。これが正真正銘の事実である。小谷野さんが「逃亡」したというのは、それについての私の解釈であり、記事をアップする際の表現にほかならない。これは別の解釈も可能なので、小谷野さんが「逃亡」を否定したからといって、私はそこで争おうとは思わない。
小谷野さんや私が「いつ」「どんな発言」をし「どんな行動」をとったか。万一、事実誤認や間違いがあるなら、速やかに訂正するつもりだ。しかし、解釈・表現に関する要求については応じられない。その点は小谷野さんにも十分ご理解いただきたいと思う。
「小谷野敦逃亡記」はちょうど一年ほど前に書いたもので、今から振り返ると、多少筆致が攻撃的に過ぎた印象はある。今なら、もっと穏やかなトーンで書いたことだろう。とはいえ、いくつかのマスコミに取り上げられ、日本禁煙学会のホームページからもリンクが貼られているこの記事は「禁煙ファシズム」問題を考えるうえでの貴重な資料になると確信している。
「本気で戦うから本気でかかってこい」と威勢のよかった小谷野さんが、どんな経緯で私との公開討論から「逃亡」したのか、ぜひ大勢の方に参考にしていただきたいと願っている。

2007/10/23 ワイネフ



(1:序文)

本書は、題名が示すとおり、2003年5月の「健康増進法」施行以後、急速に進行しつつある「禁煙運動」を「ファシズム」として批判する書である。 (『禁煙ファシズムと戦う』p3序文)


『禁煙ファシズムと戦う』(ベスト新書)とは、ひと言でいえばこんな本である。禁煙ブームともいわれる現代社会の脱タバコ化の潮流を「ファシズム」にたとえるとは、なかなか斬新な切り口だ。本の帯には「本気で戦うから本気でかかって来い!」と勇猛果敢なキャッチフレーズが踊っている。ワクワクしてページをめくると、著者小谷野敦氏の怒濤の攻めを前に「禁煙運動家」はタジタジ…向かうところ敵なしだ。スゴイぞ小谷野っ!

だが実は、この我らがヒーロー、スモーカーの救世主コヤノアツシ、なんと今は公開討論から尻尾を巻いて逃亡中なのだという!? あれあれ…それじゃ話が違うよ〜〜!

だけど、なぜ必死になって逃げ回っているかって? 答えはカンタン。この本、タイトル&キャッチフレーズは魅力的なものの、不幸なことに、カンジンの中味はニセ科学や論理のすり替えだらけだったのだ。美味しそうなリンゴをかじってみれば、中味は腐っていたってわけ。オエェェ〜〜! だから、そこをフツーにツッコまれてしまうと、もうコヤノアツシはヘロヘロ・・・大恥さらして逃げるしかなかったのである。とはいえ、その一部始終はけっこう笑えるので、ここに公開しておこうと思う。



Original: 2006-Oct-17; updated: 2007-Dec-9;
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