「嘘まみれの嫌煙キャンペーン」レポートの嘘まみれ
ここはバナナ天国! 見渡すかぎり地平線の果てまでバナナが溢れかえっている。一生かかっても食い尽くせないバナナの山、山、山…。ちょいと拾って頬張るのも、腹一杯食べ尽くすのもやり放題。なぜならここはバナナ天国だから!
だけど、ちょっと待って。四方八方にそびえ立つバナナの山脈の中には「美味しくて栄養のあるバナナ」と「腐ったバナナ」が混じっている。そんなの簡単に見分けられるって? いやいや、あなたの側には平気な顔して腐ったバナナを差し出してくるチンパンジーがいるから御用心。みんな、食べるなら美味しいバナナを食べたいよね。
あ、そうそう。このバナナの名前は「情報」っていいます。
ネットワールドに山積みされた「情報バナナ」の見分け方、知っておいて損はないですよ。
それ、美味しくて栄養のある情報バナナ? それとも腐りきった情報バナナ? 見分け方を学ぶには具体的に見てみるのがイチバン。教材は 「嫌煙運動」という神経症(「嘘まみれの嫌煙キャンペーンを大学人はどう考えるのか」(改訂版) というレポート。作者は横浜国立大学教育人間科学部メディア研究講座・室井尚教授。ナルホドナルホド、偉い先生がお与えくださった極上のバナナをみんなでありがたく賞味しようという企画ですか…いえいえ、ぜんぜん逆です。腐ったバナナで食中毒を起こしたり、挙げ句の果てにスベって転んで頭打ってポックリなんてことにならないために、室井先生のレポートをじっくり吟味してみようってわけ。素人でもわかる腐ったバナナの見分け方、ご賞味あれ!
ここで提案! 大学の先生というと、皆さん身構えてしまうかもしれないので、ここでは親しみを込めて「パンジー」室井先生と呼んでおきましょう。偉い大学の先生も愛らしい花パンジーだと思えば親しみがわいてきますね。
パンジー室井先生のこのレポートは0〜4章にわかれています。
0. はじめに
1. タバコは肺ガンの原因か
2. タバコは発ガン物質の塊か?
3. 受動喫煙でタバコを吸うとは本当なのか
4. なせ非科学的な嫌煙キャンペーンが執拗になされるのか?
では、この各パートについてこれが「美味しくて栄養のあるバナナ」か、それとも「腐ったバナナ」なのか見ていくことにしましょう。 えっ? さっそく間違いを発見したって?
4.なせ非科学的な嫌煙キャンペーンが執拗になされるのか?
この「なせ」っていうのは「なぜ」の間違いじゃないかって? いいところに気付きましたね! だけどアセる必要はありません。そんな小さな間違いをわざわざルーペで発見しないでも、このレポート、とんでもないデタラメだらけなんですから。 パンジー室井先生、とびきりの腐ったバナナを差し出してくれていますよ。ウッキッキーッ!
追記(2007.2.5)
昨年11月にこの「超簡単!室井尚のタネ明かし」をアップしたところ、一週間経たないうちにリンク元の「嘘まみれの嫌煙キャンペーン」が大幅改訂されました。
このページで指摘した「なせ」は「なぜ」、次ページの「浅野牧重」は「浅野牧茂」というようにタイプミスは修正されたようです。ただしほかの内容はというと、悪あがきがさらに醜悪になっただけ。支離滅裂なままぐちゃぐちゃと加筆されていますが、いちいちそれを追いかけて間違いを指摘するのもバカらしくなってきました。
ひとつだけ指摘しておくと、この室井先生のレポートの拠り所は、どうやら『なぜ、タバコは販売禁止にならないかー嫌煙ブームの火つけ役『たばこ白書』を斬る』(喫煙規制問題を考える会/五月書房・1988)だけみたいなんですよね。
WHOをはじめ専門機関の公式発表や世界中の無数の論文(インターネットで簡単に検索できます)をすべて無視。二十年近く前に出版された怪しげな喫煙擁護本の記述を鵜呑みにしたレポートを嬉々としてアップするのが、どうやら室井尚先生の「メディアリテラシー」のようです。アホです。
横国大の学生の皆さま、心より哀悼の意を申し上げます。
ワイネフ